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就職対策講座④~あなたは誰と生きていくのか~

  • kazenooka
  • 2024年12月10日
  • 読了時間: 4分



今回の就職対策講座のテーマは「あなたは誰と生きていくのか」。


二つの事件を取りあげ、犯罪の渦中にいた人物の発言をもとに、改めて仕事とは何か、職場で出会う人々とどんなふうにつきあっていくのか、ということをみなさんとかんがえみた。



★ひとつ目の事件のあらまし。

A氏(女性)は、高校中退後に地元を離れ、温泉街の大きな旅館で仲居として働いていた。そこを退職した後は、職場で知り合った知人たちが働いていた「夜の店」を転々としていた。しかし次第に男女関係のもつれから知人たちとの関係が悪化していき、子どもへの激しい虐待など生活が荒廃していく。やがて殺人事件の被疑者になる。


★ふたつ目の事件のあらまし。

B氏(男性)は「大企業」で働いていたが、自分の待遇に不満を持ち、同僚からも浮いた存在になっていた。あるときから「やり手」と噂されていた上司(Cさん)から可愛がられるようになり、有頂天になっていたときに、上司から個人的な多額の借り入れの連帯保証人を頼まれ、承諾する。その後上司は背任罪で逮捕される。多額の借金を背負ったB氏は会社を退職。アルバイトを掛け持ちしながら借金を返済している。



この二つの事件に僕が着目したのは、A、B両氏がそれぞれの記事(週刊誌)の中で、記者が“人生をやり直せるとしたら、どうしたいか”と問いかけをしたとき、“もっとまじめに仕事をしていればよかった”と、同じことを答えていたことがとても印象的だったからだった。



A氏の話を要約してみると、確かこんなふうに言っていたと思う。

“旅館の仲居の仕事は、若かった自分にはとても辛かった。

不満はあったが、それでも必死で働いていると、やっぱり同じような不満を持っている人たちと仲良くなってしまって、次第に欠勤が増えていくようになった。

退職後は、先に辞めていた元職場の知人の紹介で「お店」を紹介され、そこから夜の世界に。

しっかりと仕事を覚えなさいって、親身になって指導してくれたママもいたけど、それよりも早くお客として来ている男性をつかまえることに夢中になって、それでママに叱られて嫌になって、また辞めて…。

思い返せば、旅館を辞めるときも、若いときにこんな辞め方したらダメだよって、真剣に心配してくれた方がいたけど、そのときは耳に入らなかった。

最初の旅館のときは、働いている人だけでも数十人以上という大きな人の輪の中にいたけど、どんどんと人間関係が狭くなっていって、最後は子どもと二人。

あのまま旅館でまじめに仕事を続けていれば…、という後悔しかない”



B氏の場合は。

“就職したときから、まわりの同僚には負けたくないという気持ちが強かった。

だから過剰に評価を気にしていたのだと思う。

職場の中では浮いた感じだったけど、あのときは気にならなかった。

そんなとき上司のCさんから声をかけられるようになって、食事に誘われたり、ゴルフに行ったり、会社内外でいつも二人みたいな感じになっていた。

Cさんとのつきあいを危惧してくれた同僚や先輩もいたけど、Cさんに可愛がられていることへの嫉妬だろうと思っていた。

だから会社の中では、あの頃には完全に浮いていたね。

そうしたらCさんから借金の連帯保証人を頼まれて。

最初は迷ったけど、まわりに相談できる人はいないし。

最後はCさんから、専務に自分の後任はお前を推しておくよって言われて、それで承諾して。

それからすぐにCさんが出社しなくなって、警察がきて、それでCさんが会社のカネを使いこんだという話になって、もう完全にパニック。

私も会社に居づらくなって、それで退職。

いま思えば、当時の私なんて大して仕事ができていたわけではないのだから、そこまで上司に見込まれるなんてことがあるわけがない。

でも周囲に対するヘンな優越感が勝ってしまって、自分を見失っていた。

いま倉庫整理の仕事をしているけど、仕事ってみんなでやるんだ、ということが初めてわかった。

もっと早くわかっていたらこんなことには…とは思うけど、仕方ないですね”



最初の頃は、“どうして犯罪者の話なの?”という懐疑の表情だったみなさんが、次第にうなずく場面が多くなっていく。


ここで改めて、みなさんに尋ねる。

2人の人生の岐路はどこだったんだろう?


“Aさんは会社を辞めたときかな”

“Aさんの場合は、職場には真剣に働いていた人も多くいたはずなのに、そうじゃない人たちと仲良くなったときじゃないの”

“Bさんの、負けたくないって気持ち、けっこうわかる。でも、そこまで一人の上司と親密になるというのは…。そこは分かれ道だよ”

“AさんもBさんも、親身になって心配してくれる人よりも、そうじゃない人を選んだときだと思う”

などなど…。


終わりの頃に、一人の利用者さんがポツリ。

“類は友を呼ぶっていうけど、本当なんだな…”


ここまで来たら、べつに僕がどうのこうの言う必要はない。

自分はこれからどんな人たちと生きていきたいのか、どんな人たちから「友」と認られたいのか。

それが決まれば、おのずと道は見えてくる。

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