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12月の「不調感」について

  • kazenooka
  • 2024年12月3日
  • 読了時間: 4分

更新日:1月21日




12月はイルミネーションやクリスマス、忘年会など、街全体が華やかになって、なんとなく楽しい気分になるとき。


と、思いきや、じつは12月は苦手、という方は案外多い。


今日は頭が少し痛かったかと思うと、次の日は胃腸の具合が悪い。そういえば腰痛がまたぶりかえしたみたいだ…、などなど、「不定愁訴」のような身体症状が続発する。

気分も重くなってきて、毎朝今日は会社休もうかな…、という自問自答のループが止まらなくなったりする。

まわりの知人たちが楽しくしている姿を見れば見るほど、さらに無意味に落ち込んでいく…。

なかには、そんな重苦しい気分を必死に隠して忘年会に参加はしたものの、家にたどり着いてほっと一息ついたところで襲ってくる、猛烈な自己嫌悪。

やっぱり行くんじゃなかった…。


いったいこの12月にやってくる「不調感」の正体って、なんなのだろう?


ぼくはこんなふうに解釈している。


冬のうつ症状を「冬眠」の名残という説がある。

冬眠というと、クマが有名だけれども、かと言って哺乳類のすべてが冬眠するというわけではない。

ただ、ヒトが哺乳類である限り、たぶんそこに太古から続く哺乳類としての痕跡あるはずである。

人間もやはり冬になると、冬眠とまではいかないが、全体的な活動低下、つまり体温維持のためにそうとうのエネルギーを使用するので、ほかのエネルギー消費を最小限にしようとする機能が動き出すのではないかと思う。


この活動を低下させようとする機能が、感覚としては「不定愁訴」として感受されるということではないだろうか?

そうなると、自然に外出する機会も減り、家で静かに過ごしているほうがラクになっていく。

じじつ、ぼくが子どもの頃は、年末年始はあまり外出せずに、家でのんびりとテレビを観ているのが、当たり前だったような気がする。


そうなると、困るのが経済。


みんなに家でのんびり過ごされたら、お店でお金を使う機会がなくなってしまう。

特に何かと入用が多い年末年始に収入が減ってしまうのは、ことのほか痛い。

ならば、哺乳類ヒトに冬の眠りをたたき起こすかのような刺激を与えて、無理にでも消費欲を高める工夫をしていかなければならない。


クリスマスパーティ、忘年会という企画をしかける、歳末バーゲンなんていうのも、たぶんその類いだろう。

最近はイルミネーションのまばゆい輝きが、さらにいっそう僕たちの消費欲をくすぐる。

そこに各メディアが、いっせいにハイテンションな12月を演出させていく。

こうして12月の盛り上がりはできあがっていく。


いっぽう、哺乳類たる僕たちはどうだろう。

身体をいたわりながら、コタツでボーっとしていると、繁華街で年末を満喫している人びとの姿が、これでもかというくらいにテレビやネットから流れてくる。

みんな、こんなに楽しんでいるのか…。

もう私は、こんな幸せそうな風景から程遠い人間になってしまった…。

身体の不調に加えて、一気に気分が重たくなっていく。

布団にもぐりこもうか…。


そう、いつもであれば、なんてことのない身体の不調やちょっとした気分の落ち込みが、12月であると、ことほどさようにダメージが倍増していくのである。

たぶんもともと自律神経が不安定だったり、過敏な体質の人ほど、このダメージが大きい。

冗談ではなく、戦争に行くような気持ちで忘年会に参加していた方を、僕は知っている。


では、どんなふうに12月を過ごせばいいんだろう?


簡単に言ってしまえば、実際に感じているよりも体調が悪い日を想起して、意識的にそのときのような過ごし方をしてみること。

食べ物なら消化の良いものをとる、睡眠をたっぷりとる、ストレッチやヨガ、太極拳など心身がゆるやかになるような運動をしてみる、質の良い音楽や絵画など、アートに触れてみる、落ち着いて読書をしてみる…。


なんだ、あたりまえのことばっかりじゃないか。


そう。


でもこの「あたりまえ」が、12月はなかなかできなくなる。

だから意識して、「あたりまえ」のことをやってみる。

これだけでも、さらに大きく体調を崩すことは減っていくと思う。

とにかく思ったよりも身体は疲れているぞ、くらいで過ごすのが12月はちょうどいいと思う。



余談を最後に。


気の乗らない忘年会(飲み会)に誘われたとき、どうすればいいのかと尋ねられることがある。

断り方に四苦八苦されている方が多いけど、僕はあっさりと“体調が悪いので、すみません”とそのまま伝えることをおすすめしている。

体調が悪いのに、無理をしてでも来い!という人は、まずいない。


それで、なんやかんやと言ってくる人であれば、この人はそういう人なんだと割り切るようにしよう。

ただ、日常的に「体調が悪い」を言い訳として乱発している人は、要注意。

またか!と、かなり不愉快な態度をとられる可能性がある。


まぁ、因果応報です。



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